★ 帰り道はとーいのだ
日もとっぷり暮れた高知市街から西へ向かい、国道32号線を中国山地縦断ルートに入る。すると程なく山道へ・・・。結構整備された道であるのでバリバリと吹っ飛ばす。ある程度山間部に入ると殆ど交通量もなくすれ違う車もまばら、前走するトラックを追い越していき深夜のワインディングを右へ左へと切り返し、登坂車線のある急な坂道を駆け上がりはじめる私。途中で追い越した大型トラックとはチョットバトルモード、トラックの癖に結構なスピードで駆け上がってくる「やるな・・・こいつ・・・」と思いつつバイクで負けるわけにはいかないのでプライドにかけてぶっちぎる(んー我ながら低速度なバトルよのぉ) 下りに入るとイニシャルDモード突入(といってもドリフトするわけじゃないんだが・・・)非力なマシンがここぞとばかりにスピードに乗るので、左ターンのクリッピング > 立ち上がってセンターラインより、右ターンのクリッピングをかすめて全開でコーナーを立ち上がる(といっても時速80程度)幾度となく続くコーナーを越えていると、途中から来るときのルートに合流する、おそらく「大豊」の439号分岐地点だろう、見覚えのある景色が飛び込んでくる。ここは国道と列車の橋がスゴークいい感じでクロスする地点で印象深い。
ココからは「大歩危・小歩危」ゾーンである。街灯も民家も一切ない「マジで暗いよココ」な道を突き進む。無数につながるデリミネータ(道路端の反射板)がハイビームに照らされて大宇宙の中の一本道のように私を導いてくれる・・・。我ながら詩人である(アホ
かの坂本竜馬は土佐藩を脱藩した際に漆黒に染まる夜の中国山地をひた走り、瀬戸内から本州に上陸したという。あっちは二本の足で越えたって言うんだから本気でたいしたモンである。脱帽!
さー 瀬戸大橋が見えてきた 23時45分 高知市街から3時間146キロ
瀬戸大橋を渡り岡山市街方面へ進んだつもりが右と左を間違えて水島方面へ進んでしまう。道路左手にはコンビナートが広がる国道430号線、ここが社会科の教科書でおなじみ「水島コンビナート」である。なんとか国道2号線へ合流、ひたすらに大阪方面へ向かう。
岡山から姫路へ抜けるときに、山間部を通過するのだが9月だというのにムチャクチャ寒い!一応冬物のフリースを着てきたのだが、ガタガタブルブルもー真冬気分である。速度を落として体温保全を考えたのだが、夜の国道2号線はトラックの大集団なので、信号の無い一本道を90キロ平均で駆け抜けないとひき殺されてしまう。着替えのティーシャツやらタオルを体中に巻きつけてみるもの気休め程度にしかならない。うーこのまま死んでしまうのだろうか・・・と思いつつ、なんとか姫路市外へ突入。安心したのもつかの間・・・今度は睡魔が襲ってくる。バイクに乗っていても「眠いときは寝てしまう」というのがバイク乗りの定説。本気で居眠り運転モード(一人ローリング走行 右にフラフラ左にフラフラ)に入ってしまったのであきらめて仮眠をとることにした。
場所は神戸に突入する直前あたりだったカナ?国道脇のマックと本屋とその他色々が密集するショッピングゾーン(でっかい駐車場がある)でゴロンと横になる。人間眠いと何処でも眠れるモンである。(これもバイク乗りの定説?私だけか?)小1時間くらい死んだように眠って、ふっと目がさめたのだが・・・ぬぉ!?! おっさんが懐中電灯片手に私の顔を覗き込んでいる!「にいちゃん だいじょーぶかぁ?」どうやら警備員さんのようである。「すんませーん 眠かったんで場所借りましたぁ〜」と言うも、「あー 大丈夫ならエエんじゃ」と温かいお言葉。眠気もとれたので再スタートである。
ココラ辺は来たときと同じルートであるが、帰り道は名神国道から阪神高速へ突入し大阪市街を抜けて名阪国道を名古屋へのルートを取ることにする。高速に入るとルートがわからなくなる危険性が高いので途中の「京橋PA」でルートの確認をする。じろじろと地図を眺めていると、これまた警備員のおっさんが話し掛けてくる。「にーちゃん 道わかるかー?」 まったくもって関西人は情に厚いのであった。やたらと人のよさそうなおっさんなので雑談を少々してみた。埼玉に帰る途中だと聞くと「へー このバイクで帰るんかぁ〜」と少々びっくりしていたようである。
さてさてココまで来たら寄っていかねばならぬ場所がある。察しの良い方であればピンとくるでしょう?「阪神高速環状線」である。東京の首都高速都心環状線に並ぶ「都市高速における走り屋のメッカ」である。いまだ走りの血は途絶えぬ私なのであった(反省