■ 2002年初夏 黒部ダムの旅

 ちゅーことで、台風が去った7月11〜12日、黒部ダムへちょいと出かけてみた。予備知識がない人は以下のサイトでどんな場所か見てから本文を読むと理解が深まりナイスかも。

1.立山黒部アルペンルートオフィシャルページ

2.とってもわかりやすい、ルート断面図

3.ダムまでの周辺地図

■ どーやって長野まで行こうかね?

 我が家は東京へバイクで20分程度の場所にある。ココから長野方面(今回は松本方面だな)へ行くルートは2つありまして・・・

1.国道17号を北上して、高崎経由で18号に入り碓氷峠を越えて軽井沢、上田経由の信濃大町へ至る

2.新宿へ出て、国道20号(甲州街道)をひたすら突き進み、八王子・高尾・甲府・諏訪・松本ときて信濃大町に至る

この2ルート、両方とも距離は同じくらいで始末に負えない。どっちにしたらエエのチト悩んだが、「都内を走るのは嫌じゃ!」ってことでルート1にしてみた。距離的には250km程度なので、オール下道でも6時間で到着するハズ。よって宿泊は無し、途中で温泉に浸かり、仮眠だけとっての強行軍でいくことにした。北海道・四国・九州とゼニを相当つぎ込んでいるので、長野くんだりで豪遊するわけにはいかんのじゃぁ〜!というわけで出発。

■ 山は寒いのよ

 さて、夜中の0時を過ぎたころ、超軽装で出発である。風呂道具にカメラと財布だけもって出発してみた。まぁ夜のツーリングなので、山へ近づくにつれてバシバシ気温が下がってくるコトが予想されるので、途中で困らないようにジャケットとインナーを持っていく。それでも思ったよりも軽井沢の夜は寒く(14度)チトきつくなってきたので、奥の手「バスタオル巻」の術を使うことにした。奥の手といっても、胴体にバスタオルを巻きつけてからジャケットを着るだけなんだけどさ・・・結構コレで寒さはしのげる。碓氷峠は台風のおかげで旧道が通行止め、新道はOKなのでよかったね。つーワケでお日様が出てきたころ信濃大町の温泉郷に到着。ココで露天に浸かって仮眠を取り、黒部ダムへ向かうことにする。

■ 薬師の湯

 さて、この温泉なんだが、公営の施設ということもアリ、激安&充実の設備でナイスである。まず温泉が2つ、しかもそれぞれに内湯と露天があり、非常に広かったりする。売店・ロッカー・TVなどもあり、給湯設備はセルフサービスで使い放題、カップめん持込という手もあるな・・・。そして畳敷きの大広間では混み合っていなければ仮眠もおっけーである。到着が平日の早朝ということもあり、がらーんとしていて、わたしゃ2時間くらい熟睡させていただいたよ。

そうそう、薬師の湯であるが、場所は黒部ダムへの入り口「扇沢」へ向かう道の途中の「大町温泉郷」の中にある。温泉郷という名のとおり、一般の温泉宿が集中して集落を形成しているエリアなんだが、田畑の中にポツーンとあるので、温泉郷の外にはなーんもない。



< 写真 >

大町温泉郷内にある「薬師の湯」500円也
朝5時から営業なのが素晴らしい。貧乏人の味方。
仮眠もできて、風呂もきれいと非常に便利。

  ■ 扇沢から黒部ダムへ

 さて、10時を回ったころにダムへ出発する。ダムへ行くには「扇沢」まで行き、そこから「関電(関西電力)トロリーバス」に乗る。トロリーバスは基本的に「全部トンネル区間」をひた走るので、景色を楽しむとかそういうものはない。つまりなんだな、扇沢まで高度を稼いで、そこからは山を突っ切りダムまでバスって感じだ。また、エンジン車を使わないのは自然保護と、排気用の抜け穴を作ることが出来ないことが理由らしい。このトンネルがいわゆる映画化までされた「関電トンネル」だ。数々の苦労と犠牲者の上に作り上げられた「漢たちの執念が詰まった」トンネルなりよ。

 


< 写真 >

黒部ダムまでは、扇沢からトロリーバスでトンネルをひたすら15分進む。 途中で、トンネル工事最大の難所であった「破砕帯」も通過するよ

■ 黒部ダム到着

 さてダムに到着するが、自然景観保護と冬の雪から施設を保護するために黒部の施設は全部地下にある。当然バスの発着駅も地中にあるから、展望台までは「ながぁぁぁ〜い階段」をあがっていくことになる。観光客は基本的に「じーちゃん・ばーちゃん」が多いので辛そうであるが、厳しくも雄大な観光名所に着たからにはちったー苦労したほうがありがたみがあるってモンだ。

そうそう、この「トンネルを抜け地下施設に至る景色」を見てチョッとデジャブ(既観感)を起こした・・・んーそんな風景を見た覚えはないんだがなーと悩んだが、2分後に解決した。そーだよ、コレ「ホワイトアウト」(神保裕一著)の舞台として描写されていた「奥遠和ダム」(実際には無いヨ)だよ。あちらさんも厳しい自然環境下にある日本有数の貯水量を誇るダムって設定だと思うのだが、長いダム専用トンネルの向こうに巨大地下発電所があるってことになっている。まさに黒部はそんな感じ。

ちなみに「ホワイトアウト」は映画化されていて、織田雄二が「このダムはお前らのすきにはさせない!・・・CdmaOoe携帯がばぁ〜ん(au提供)」って叫んでたアレだ。よくある「賞とった小説>映画化」の例に漏れず、映画はタコだが原作は「かなりエエ感じ」なのでオススメしとく。わしも小説から読んで偉く感動して映画でガックシパターンだった。主人公の富樫が「バケモノみたいな活躍をする」のでチョッとオイオイ・・・の場面ももあるが、間違いなく爽快感はある作品!

■ さてダムへあがると・・・

 長い階段を抜け展望台へでる・・・おぉ・・・人々は喚起の声を上げずにはいられない。眼下には巨大ダムが唸りを上げ放水の迸りをあげ、風雪に削られた立山がそれを微動だにせず見守る・・・。空はどこまでも蒼く、そう・・・青というよりは蒼だ、油絵具をそのままに流し込んだような人間界には存在しない空の色・・・空からの光は初夏の息吹を開かせ始めた残雪をあいまに残す木々の緑をより一層深いものに魅せる。放水に反射する光は七色の虹となって渓谷に彩りを添えていた・・・。緑・蒼・白のコントラストの中にそびえる巨大人工建造物・・・40年の歳月は無骨ともいえるコンクリート壁でさえ黒部の景色に溶け込ませていた。

 とまぁこんな感じだ(^^; コラ、そこ笑うな! つーかさ、一度観てみろ。よくもまーコンナモン作ったな・・・一見の価値はあるゼ!。多くは書かないので写真でも見てくれな。

   
<左>
バスを降りて、トンネル階段をひたすら上っていくと展望台にでる。 展望台からはダムが眼下に一望できる。天気がよすぎで素晴らしすぎ!

<右>
天気がいいと必ず虹が見られるらしい。

  ■ 展望台からダム上

 展望台からはダムまで斜面にへばりつく階段を下りていく。写真の通り壁面はすべてコンクリートで固められており、えれー高さのところにある。階段はとってつけたような簡単なものなので、落ちようと思えばどこからでもダイビングできそうな勢い。落ちたら確実に昇天できそうなので落ちないように気をつけようネ。

 
<左>
斜面はすべてコンクリートで固められており、そこに移動用の階段と通路がへばりついている。すんざましい高さであるが、写真ではわかりづらいか?

<右>
ダムの上から展望台側を見る。一番上のUFOみたいのが、展望レストランでその上が屋外展望台と・・・階段がコンクリ壁にへばりつく様が伺える。でかいねぇ〜

       
<左>
ダム手前からの黒部湖。やばいくらい天気がイイ。

<右>
ダム上からの黒部湖。なんかねー絵みたいな写真でしょ?写真屋5でちょっとは加工しているけど、肉眼で見るとさらに絵みたいに不思議な景色だったのです。

  ■ ダムから黒部平、さらに大観峰へ

 ダムをわたり切ると、やはり地中に黒部平へ行く「ケーブルカー」の駅がある。これまた地中を進むやつで、5分程度の闇を抜けると「黒部平」に到着する。さらにそこから「ロープウエー」を使い「大観峰」へ行くことも出来る。ケーブルカー&ロープウエーで1000m位高度が上がるので、ダムも遥か彼方に見下ろすことになる。ココまでくると景色も一変する。なんつーかな、「あー こんな高いところまで来てしまったのね・・・」的光景が見られるよ。

   
<左>
ダム中央付近から下流を望む、遥かかなたには北アルプスの山々が・・・
この景色には171人の命が眠っているのだよ。

<右>
ダムを渡り、黒部平行きのケーブルカーに乗る。景観保護と雪対策のため完全地下施設となっている。ケーブルカーも全部トンネル内。

       
<左>
立山側、ここは黒部平からさらにロープウェーで高度を上げた「大観峰」。ダム湖面からとは1000m近く高度差があるので、景色が違うんだよ。

<右>
大観峰からダム湖側を見る。ちと写真は汚いねぇ〜。

  ■ 旅の終わり

 とまぁ、今回はココまでである。大観峰からは、トンネルを抜け富山側へ抜けると、室堂経由でかの有名な「雪のトンネル」(両側が5mくらいの雪の壁で、バスが走る光景みたことアルでしょ?)、いわゆる立山黒部アルペンルートを代表する光景を見ることも出来る。泊まりで行く人は脚を伸ばしてもいいんじゃないかなと思ったりする。

 台風一過で天気も良かろうと思っていたのだが、ココまでいい感じになっているとは思わなんだ、ということで大満足な黒部の旅なのでした マル

    

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