★ FOMA(フォーマ)1
最近ちょっとだけ騒がれたNTTドコモが提供する次世代携帯電話サービスFOMA(フォーマ)、皆さんはご存知かな?
面倒なので解説は大幅に省きますが、気になる方は検索エンジンで(IMT-2000、次世代携帯電話、第三世代携帯電話、3G、DS-CDMA、MC-CDMA、W-CDMA、cdma2000、FOMA、3G)等々をキーワードにして検索するとボロボロ解説系のページが出てくるので参考にしてほしい。それではものすごく簡単ですが、ワンポイント解説をはじめたいと思います。
★ なぜ新しい方式?なの
どんな事でも当てはまると思いますが、新しいモノが出てくる原因というのは、「古いものに欠点がある」もしくは「時代が進むにつれて現状のものが新しいニーズに応えられなくなってしまった」のどちらかであると思われます(企業の戦略とかは抜きにして^^;)なので、現状の携帯電話の欠点を洗い出すことからはじめてみましょう。現行携帯の弱点は何?
@音質が猛烈に悪い
A話していても通話が切れる、音声が途切れる
Bデータ通信がムチャクチャ遅い
Cほぼ日本国内でしか使えない
@随分改善されましたが、それでも相手の声を聞いて「アナタいったい誰?」といった状態になることはありませんか?また、比較的いい状態でも、固定電話(普通のNTTの電話ね)と比較すると聞き取りにくかったりするのが普通ではないでしょうか?。夕方の繁華街などでは、「おまえは誘拐犯か?窒素ガス吸って話してる?」なんて事を体験された方も多いのではないでしょうか?
Aアンテナマークが3本立った状態でも通話をしていて突然切れてしまったり、また繋がっても相手の声が聞こえなかったりと、使う側からすると訳のわからない状態になることはありませんか?
B携帯電話とパソコンを繋いでデータ通信おこなうとPHSやら一般の固定回線、ISDNと比較して7分の1程度のスピードしか出ません。同じデータのやり取りに時間はかかるし、料金は高くなるしであんまりいいことがありません。また、ドコモのiモードサービスもデータ通信にあたりますが、低通信速度なのでテキストベースにちょっとした画像を表示させる程度のことしかできません。
C日本国内の独自仕様携帯なので海外にそのまま持ち出すことはまず、不可能です。(方法はあるけどあんまり現実的ではない)
ざっとこんな感じでしょうか。では、なんでこんな風になってしまったのでしょうか?
答えは結構簡単で、現行の携帯電話の規格が出来上がったのはもう何年も前のことです。その当時「小学生からおじいちゃんまで携帯を使い、インターネットが爆発的に普及し、屋外から携帯を使ってアクセスするようになる」なんて考えが浮かばなかったとしても何の不思議もありませんよね。そうなんです、今の携帯電話は現状のような使い方は全く想定していないんです。逆にいうと現在の方式では時代の要望に応えるのは不可能なんですね。だから、新しい携帯電話なんです。
★ さて、どんな電話にしましょうかね?
新しい規格を作る場合、ある通信会社が勝手に規格を作り、それに基きサービスを行うというのも手でありますが、それではその通信会社のインフラが無い地域では使えないサービスになってしまいます。まさに今の携帯電話がそれです。
もともと、携帯というくらいですから持ち運ぶのが当然、できれば世界中にどこでもつかえたほうがそれは便利でしょう。ビジネスで飛び回らない方でも、メールのチェックなどが海外で、特定の手続ナシでできれば便利ですよね。それには、世界共通の規格が必要となります。そこでITU(国際電気通信連合)という組織が現行の携帯に変わる次世代の携帯電話規格を策定しようと動き出したわけです。その次世代携帯の規格の一般名称を「IMT-2000」(アイエムティーニセン/International Moble Telecomunication 2000 間違っていたらごめんなさい^^;)と呼んだわけです。
★ さて規格を作ろうか
ITUではいくつかの条件を提示し、そして世界中の通信関連企業ではIMT-2000として採用されるべく、新しい規格を開発し、ITUへ提出しました。提出された規格を討議し、最終的にひとつに決める形をとったわけですね。競争入札みたいなもんです。
なおITUが提示した条件というのが結構厳しくて、現状で問題になっている通話品質・回線収容数(どれくらいまでユーザーを増やせるか?)高速データ通信に関して、今現状必要とされている性能より遥かに高いるレベルが要求されています。目指すのは、世界中で使えて、固定回線に負けないクリアな音質、いかなるときでも途切れず、莫大な数のユーザーに対応し、リアルタイムで動画・音声を伝達、大容量データも高速にやり取りできる携帯電話なのです。
★ 世界統一規格のはずなのだが・・・
現在ITUによりIMT-2000として認められている規格は世界中で5〜6個あります。はて?何で世界共通規格なのに複数あるんでしょうか?不思議です。まぁ一筋縄ではいかないのが政治/経済の世界でして、本来一つにまとまる筈であったIMT2000ではあるんですが、特許・国際政治・経済的な影響モロモロを受けまして、ITUもしょうがなく複数の規格を認めるに至ってしまいました。
各企業も道楽で技術開発しているわけではないので、ゼニと時間をかけて開発したものが何にもならなかったら困るわけです。また、ある企業の開発したものが世界規格になってしまったら、これまた他の企業は困るわけですよね(特許料とか・技術的支配ね)そんなこんなで、複数の規格が乱立するに至るわけですが、流れとしては2つに収束しそうというのが現状のようです。
★ ITU正式認定のIMT-2000規格あれこれ
@DS-CDMA方式(通称W-CDMA方式:日本ではドコモ・J-Phone採用)
AMC-CDMA方式(通称cdma2000方式:日本ではauが採用)
先に述べたのですが、IMT2000正式認定モノには他にもいくつかありますが、世界的に見てもこの二つに収束しそうな気配なので書きません:本当はメンドクサイだけかも・・・一応全部正式認定規格なのでどれを採用してもいいのですが、これまた企業の事情・駆け引き・国益モロモロが絡んで厄介なようです。
★ まとめてみよう
いろいろな用語が出てきたのでちょっとまとめてみましょう。
事の起こりはITU(国際電気通信連合)が次世代携帯電話を世界共通の規格(IMT-2000)として取りまとめようとしたことから始まります。なお、現行のデジタル携帯電話は第二世代に当たるため(第一世代はアナログ携帯電話)次世代携帯電話は「第三世代」になります。第三世代を英語で言うと「3rd Generation、略して(3G)」なので以下の式が成り立ちます。
「次世代携帯電話」=「第三世代携帯電話」=「3G」=「IMT-2000」
時と場合でニュアンスを使い分けることもありますが、全部同じモノをさしていると思って差し支えないでしょう。当然数年後第三世代が普及した時点では「次世代」=「第四世代」=「4G」となる訳ですね。
またIMT2000では複数の規格があり、現状の2大勢力として「DS-CDMA」方式と「MC-CDMA」方式がありますが、これはITUが定める正式名称なので言葉尻が硬いのが難点です。そこで通称として
@DS-CDMA方式 = W-CDMA方式
AMC-CDMA方式 = cdma2000方式
なんて呼んだりするわけです。どちらの方式を採用するかは各国・通信会社の判断するところなのですが、流れとしては「米=cdma2000」「欧=W-CDMA」らしいです。日本のように同一国内で二つの方式が混在するのは珍しいようです。
★ そんじゃFOMAってのはなんなんだ?
ドコモが採用した次世代携帯電話の方式はW-CDMAですが、当然サービスを開始するにあたって新しい名称が必要になります。それが「FOMA(フォーマ)」になるわけです。ドコモが提供する次世代携帯電話サービスがFOMAであり、FOMAが採用する通信方式がW-CDMA方式になります。国内ではJ-PHONEも次世代サービスではW-CDMAを採用しますが、当然別のサービス名を付けての開始になるわけですな。
最初に書いたように、実現すれば現在の携帯電話を遥かにしのぐ性能をもつ第三世代携帯電話なのですが実際はどうなのでしょうか?次回以降はその部分について書いていきたいと思います。
というより、次回からが本題なんだなぁ〜 前書きが長すぎましたね^^;
本文中の間違い・誤認識等あれば連絡くださいまし