★ 無線設備技術基準適合証明=技適

携帯電話は家電なのか?いや、違う。ではなんなのか?無線機である。

800MHzの高周波を出す立派な通信機器であり、精密機械なのである。世間一般の方はこのことを勘違いしているらしくて結構ムチャクチャなことをしてくださる方が多い昨今である。ムチャクチャなことといえば例えば・・・・

1.とってもキラビヤカナ光るアンテナをつけてくれる
2.車と間違えているのか筐体全塗装を施してしまう
3.好奇心のあまり分解してしまう

4.怒りのあまり地面にたたきつけたり、放り投げたりする
5.自分がお酒を飲んでいたりして、携帯電話にもお酒を飲ませてしまう
6.プールにもっていって可愛さのあまりいっしょに水浴びをしてしまう

 まぁ4〜6は例外としても1〜3に関してはなんかしら施している方も多いのではないでしょうか? 注意しなければならないのは通常使用で壊れた場合であっても1〜3はメーカー保証対象外となってしまう(4〜6は顧客責任で絶対にお金のかかる修理ダヨ)。故障などでドコモショップへ持ち込んでも受付を断られるか、保証期間内でも有料での修理となってしまう。アンテナ交換・本体分解に関しては何食わぬ顔できれいに元通りに戻して持ち込めば何とかなる場合が殆どだが、筐体全塗装に関してはまず無理で必ずといってもいいほど保証は効かなくなってしまいますが、実はこれにはキャリアの事情だけでなく、無線機の認可にまつわる深ぁ〜い理由がるのです。けしてキャリアの意地悪じゃないのでお間違いのないよう。

 世の中に数多ある無線機は全て国の認可(免許)を取った上で電波を発射しているのです。認可を取っていないとすると違法無線局扱いになります。テレビ・ラジオ・消防・警察・タクシー・航空・アマチュア無線・もちろんPHS・携帯電話も例に漏れず認可の対象です。通常の手続きでは無線設備を備え電波を発射(通信)しようとする者は設備に関する書類(回路図・諸元表等)を国の管轄機関(忘れました・電波通信監理局だっけ?)に提出し免許を受けなければなりません。

 このように免許を受けて初めて電波を出せるわけですが、携帯でこんなことやってたらどうでしょう?携帯電話を買いに行って、申請書を書いて収入印紙を貼り付けて郵送、数週日間の後に免許状が交付され、その時点で初めて通話ができる・・・・はっきり言わなくても、めんどっちーというかとてもじゃないがやってらんねー手続きとなりますね。

なので、携帯電話・業務無線機等の、ある程度大量生産され・改造等をしない事が前提の機械では「技術基準適合証明」を受けることでその手続きを実際の使用者が行わなくても良いことになっています。

メーカーさんがちゃんと作っているから、のーまるで使う分にはうるさいことイワンヨてな訳ですな。

なお、技術適合証明を受けた機種に関しては固有の技術適合番号が付与され、その適合試験をパスした結果がテレック・財団法人テレコムエンジニアリングセンターのページに掲載されます。「統計資料 > 証明設備一覧」で期間検索をしてみてください。一例として2001年6月の認証を受けた機種を検索してみると

※2002年2月2日補足
 どーも最近テレックの技術認定のページが更改されていないようです。なので検索は出来ませんがJATE(電気通信端末機器審査協)のページの「認定済端末」のページで一覧を見たほうが情報が早いようです。そんな感じでよろしく。

「富士通株式会社 ムーバF671i WAA0126 〜 WAA0126 01/06/01」

というのが出てきますが、これは9月1日に発売になったNTTドコモの「F671i らくらくフォンU」のことです。認定が6月1日ですから3ヶ月での発売で、WAA0126が適合番号です。なお、503のセカンドシリーズ(通称iS「アイエス」シリーズ)も4〜5月にかけて適合を受けているのが分かると思います。

 なお、遅くとも新製品発売の数ヶ月前には適合を受けますので、ここのページで出てきた機種に関しては数ヵ月後に発売になることが予想できます。携帯電話系の雑誌で「新製品予想」なんて記事が出たときはたいていテレックの認証を受けていて発売がほぼ確実になっているものですナ。認証を受けているということはモックアップの状態ではなく電波が出せる製品があるってことなので、その筋とのつながりがあれば未公表製品イラストやら実機写真が手に入るわけです。(直前になるとメーカーが意図的にリークする可能性も否定できない・他社製品の買い控えを誘う為・でもキャリアがゆるさねーよな多分)

話が少々脱線しましたが、一般の通信機器に関しては、改造をしないことを前提に技術適合証明を受けているのが分かっていただけたと思いますが、問題となるのがその「改造とみなされる範囲」なのですね。穴をあける・ケースを加工する等々は明らかに改造なのですが、アンテナ取替え、単なるケース分解も改造とみなされてしまいます。

全塗装に関しては分解を伴わないとしても、塗料の内部侵食が考えられるので保証対象外となりまして、また「分解して塗ったから塗料は中に入っていない!」と主張される方もいらっしゃいますが、それはそれで「分解」という事実が保証対象外になる理由になります。(技適では分解自体を認めていない)そして、アンテナに関しては軽く考えている方も多いのも事実ですが、アンテナも「通信機器の一部」にあたるので、その部分を変更したということは改造にあたってしまうのです。

とまぁ携帯電話も無線機である宿命を背負って生きていますので、もし改造を行う方に関しては「自己責任」でお願いしますってことですハイ。

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