★ マイカル本牧 その弐

茂みを掻き分け、幾多の人里をぬい突き進む・・・
ハマ(横浜)は町も人も撒き人に厳しい
道無き道を爆進し、迫り来る追っ手(警察)を振り切る
時にはコンクリートのジャングルに身を隠し
時には血を血で洗う管理人バトルを繰り広げ
時には・・・

   なぜ君は山に登るのか?
   それはそこにアパートがあるからさ

   なぜ君は歩くのか?
   それは先にアパートがあるからさ

   なぜきみはチラシを入れるのか?
   それはここにアパートがあるからさ

   本当にそれだけかい?
   それだけのためにイバラの道を進むのかい?

<<<暗転1>>>

今日も一日が終わる、山肌もお肌も夕焼け色に染まる頃
とある小高い丘にたどり着く俺とチラシ残り800枚

海だっ! 海が見える、ここ迄来たんだ、やっと・・・

   こんにちわぁ〜ベイブリッジ
   こんにちわぁ〜高層マンション群
   こんにちわぁ〜三菱製油のタンク達
   こんにちわぁ〜ランドマークタワー
   こんにちわぁ〜インターコンチネンタルホテル

   周りに人はいても、奴らは独りぼっち
   周りに人はいても、オレも独りぼっち

<<<暗転2>>>

夏の夕暮れの風が心地いい、山を一気に下り
マイカル本牧高層アパート群へ一人切り込む

ビラ撒き計算機フル稼働!(ただの暗算だよ)
8階建て、ポストは各階段入り口付近にあり
8×2=16部屋 各棟に階段は3本
一棟あたり48部屋、建物はざっと見て20棟ある
48枚×20棟=960部屋、
階段2本の棟、6階建てもあるが、旨くいけば任務完了だ・・・

   オレはマシンだ!
   各棟の最短距離を計算し
   最適なルートを検索する
   住人の移動速度を計算し
   気づかれる前に作業完了
   右手はチラシを捌き
   左手はチラシを投入

そして全ては終わった・・・なにもかも



今回は回想成りきりモードで書いてみました。当時は本牧のサイバーパンクな光景を目の当たりにして
「あ〜 俺ってなんかカッコいいカモ」
なんて思ってしまったんですよね。暗闇が忍びつつある都市とコンビナート、チカチカ光る鉄塔の赤ランプってマジでグッと来るものがありますよ。この感覚、分かる人には分かるんでしょうが・・・。

チラシを撒いて楽しかったのはこういう経験が沢山出来たこと。
だだっ広い荒野に一人立つ! みたいな状況は結構あります。マイカル本牧は特に思い出に残る場所だったので 特別に書いてみた次第です。
他に思い出の地としては・・・

   木更津からみる京浜工業地帯の明かり
   久里浜から見る対岸の京浜地区&房総半島

等がありますが、共通するのは足下には都市の明かり、遠目には無機質な工業地帯が果てしなく連続して広がる風景って所でしょうか?
無機質な工場群と人の暮らしの明かりが同居している風景を 俯瞰する立場で自分がいて、更にその自分を俯瞰する私・・・。


実は先日マイカル本牧には行って来ました。当時の状況とシンクロして結構いい気分で1時間程ぼーっとしてしきました。1年半経っていても、道は完璧に覚えていて、撒きエリアに近づくと妙に興奮してしまいます。
あー この先は小学校があって・・
そこの裏の階段から山頂に抜けられたはずだ・・・なんてね。
10年ぶりに帰った故郷感覚があっちこっちで味わえちゃいます。

暇が出来たら今度は久里浜に行ってみよう^^


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