★ 日本が1つになった時
みなさんは1997年にどんなことがあったか覚えていますか?ヒントは1998年がフランスワールドカップの開催年であったということです。ハイ、分かりましたね。そーですフランスワールドカップ(WC)の最終予選が行われた年なのですね。「何でいきなりサッカーの話になるわけ?ビラ撒きと何の関係があるわけ?」とは言わずに最後まで読んでみてくださいな。
ちょっとここで当時の状況を思い出してみましょう。わたしはサッカーへの興味は殆どない人間ですので間違っている部分もあるでしょうが、その場合はお見逃しを。内容はWEBで適当に検索して調べたものです。まぁ、各ページとも熱心な方が作られているようなので、事実関係の正確性は高いと思われます。
★ ワールドカップへの道
まず世界をいくつかのエリアに分けて(アジア・ヨーロッパ等々)各地区で予選を行うようです。ここでは日本に限定しますのでアジア地区を例にとって書きます。
さてアジア地区でも予選が行われるのですが、この予選は2段階に分かれるようです。まず予選参加国をいくつかのグループに分けて、総当たりで試合をし、各グループのトップ?だけが2段階目の予選に参加できます。そいでもって2段階目の予選に進出した国を、2グループ(グループAとグループB)に分けられまして、ここでも総当たりで試合を行います。結果としてはA・BグループのそれぞれトップがWCの出場権を獲得することになるようです。
ただしアジア地区の出場枠は3カ国なので、A・Bグループの2位同士が3位決定戦(第三代表決定戦)を行い、勝った国が3番目の出場権を獲得するらしいです。
★ 1997アジア最終予選における日本の状況
前回のアメリカ大会は最後の最後(ドゥーハの悲劇)で出場を逃した日本であったが、今回のフランス大会は万全の体制で臨んだ。加茂監督率いる歴代最強を誇る日本代表であったが、最終予選(Bグループ)ではメンバー采配がうまくいかず、格下のチームにも引き分けに持ち込まれる始末。予選会最中であるにも関わらず、監督交代のゴタゴタに発展する。このとき抜擢されたのが岡田監督である。
結局Bグループトップは韓国で決定。Bグループで2位になって、第三代表決定戦出場で勝つしかWC出場の道は残されていない・・・。という状況になったのです。ところがその2位の地位も危ない状況で最終戦を迎えてしまったのです。ここで勝たなければ2位になれない、最後の望みにすらたどり着けないのだ!さーどうする日本代表!本当に首の皮一枚の状況になってしまったではないか!いががおうでも盛り上がる最終戦カザフスタン戦なのでありました。1997年11月8日(土)19:00〜国立競技場でキックオフ。ぜーんぜんサッカーなんて興味のなかった人々まで巻き込んで、日本中の人間がテレビの中継に見入った瞬間でありました。そう、ごく少数の人間を除いて・・・。
★ 日本が1つになった時
こんな日にも、私は相も変わらずビラ巻きをしていたのでした。今日の現場は「祇園」、といっても京都じゃないですよ、千葉県にある「祇園」です。11月にも入ると日が暮れるのも早いもので6時をすぎたあたりで既に辺りは真っ暗、都会のど真ん中でもないので非常に物寂しい雰囲気が漂います。ところが今日も朝からラジオを聴きながら仕事をしてたのだが、どーも騒がしい、「ワールドカップ出場をかけて・・・」「最終戦を迎えて・・・」「首の皮一枚で生き残れるのか、日本代表!」こんな話題ばっかりです。どうやらWC出場をかけた大切な試合があるようです。7時キックオフというのにも関わらず、1時間も前から国立競技場から中継は始まるし、私もちょっと興味がわいてきたのでそのまま聞き続けて仕事をしていたのです。
7時キックオフで試合が始まりました、国立競技場の異常な興奮がラジオを通しても伝わってきます、応援も実況も得体の知れないモノに取り憑かれたような感じで、ちょっと怖い感じ。ちょうど巨大な団地群に突入していた私も、歩くペースが速くなります。そして均衡が破られたのが前半12分、日本の先制ゴールです。
「ぐぉぉぉぉおおお〜」
すざましい歓声が起こり私もびっくり、というのも、巨大な歓声が四方八方から聞こえてきたのです・・・ん?四方八方から??・・・
なんと歓声の主はラジオではなく、団地の住人だったのです。つまりこの声は、お茶の間で、今まさにテレビ中継を見ている人たちの歓声だったのです。ラジオから国立の大歓声がすると同時に団地中にも歓声が響き渡ったというわけです。うーん、なんと不思議な感じ。現場の熱狂と、いま日本全国でテレビにかじりついている人たちの興奮を同時に感じる、なかなかできない経験ですね。
結局日本代表は今までの鬱憤を晴らすがごとく、5得点をあげBグループ2位を確定し、第三代表決定戦の切符を得たわけですが、得点の度にあっちの家からもこっちの団地からも「ブォォォオオオ」「ギュォォォォオオオ」と得体の知れない歓声が響き渡ったのは言うまでもありません。
国立競技場で現場を見ていた人たちや、テレビ中継で見ていた人たちは日本代表の勝利に感動したのでしょう。でも、わたしは日本人の心が1つになったことを感じて興奮してしまいました。日本代表万歳!確かに君たちは大いなる興奮を日本国民に与えてくれましたよ!